討議の論点
【第1セッション】
“第4の波”にどう立ち向かうか?―ブロックチェーン革命とサイバーセキュリティ
「基調報告者」 松田 学氏 (松田政策研究所代表)
論点
ブロックチェーン革命を「ビットコイン」のような投資取引だけの話に留めてはならない。第1の波(農業)、第2の波(工業)、第3の波(情報)に続く“第4の波”が電脳空間の大海原に人類を引き込む。それは従来の大組織型中央管理システムから自立した分散型社会による新しいコミュニティの形成である。但し、電脳空間に向き合う人間のリスクも複雑化深刻化し、サイバーセキュリティの実践と錬磨が問われる。財務省官僚、衆議院議員、東大客員教授、ベンチャー経営者と八面六臂の活躍を重ねてきた松田氏が“第4の波”にどう立ち向かうかを問いかける。最近著:『いま知っておきたい「みらいのお金」の話』『サイバーセキュリティと仮想通貨が日本を救う』等。
【第2セッション】
21世紀前半の日本政府の進路
「基調報告者」 金井 利之氏 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
論点
「過大な期待もしなければ、安易に諦観もしない、というのが行政とのつきあい方」とクールな視線を保とうとする金井氏だが、この国の行政に対する被治者たる国民としての憤懣と危機感は激烈だ。政権が意に沿う官僚を政治任用すれば、組織自体・下僚はドミノ倒し的に忖度する。「地方創生」では消滅の恐怖にさらされる自治体同士で移住者を奪い合い、「ふるさと納税」の名のもと限られた地方財源を奪い合う。ではどうするか?金井氏は明治維新以来の官僚政治さらに平成の政治主導型行政改革を振りかえる中で格闘する。最近著:『行政学講義-日本官僚制を解剖する』『地方創生の正体』等。
【第3セッション】
米中超大国間でどうバランスをとるか?―日本外交模索の先
「基調報告者」 川島 真氏 (東京大学大学院総合文化研究科教授)
論点
6月開催のG20大阪サミット特別会合で、米中首脳に左右脇を固められ座っていた安部首相はなんとも窮屈そうであった。この2つの超大国とどうつきあうか?米中がこれから激烈な覇権競争に突入していく中で従来の対米傾斜路線が揺らいでいる。日本の同盟コストに不満を持つトランプ大統領は日米安保体制への異議申し立てを強める。一方、後10年もすれば米国GDPを追い抜く勢いの中国の「一帯一路」型中国グローバリズムの日本に対する風圧は高まっていく。ではどうするか?日本外交模索の先を問う。最近著:『21世紀の「中華」-習近平中国と東アジア』『中国のフロンティア-揺れ動く境界から考える』等。
【第4セッション】
若者はどう未来をつかもうとしているのか?―世代間ギャップを越えて
「基調報告者」 西田 亮介氏 (東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授)
論点
平成の初めから15年間程の間に生まれている日本の若者。彼らと昭和生まれの「大人」世代との異質性は深刻だ。「なぜ若者を理解できないのか、なぜ年長者を許せないのか」という双方の不寛容に満ちた叫びが聞えてくる。一方、「自民党はベストじゃないが、これはこれでベター」という若者らしからぬ声(?)も増えている。彼らは令和の時代にどんな未来をつかもうとしているのか。若者たちに近いところでこの問題に体当たりしている36歳の若手社会学者(白馬会議歴代講師最年少!)西田氏に語って貰う。最近著:『不寛容の本質』『「言葉」で読み解く平成政治史』等。